『昔日』

 私の生家は美濃街道に面しており、戦争未亡人となった
祖母が布団屋をしていた。夏になると、祖母は道に椅子を
出し、アッパッパの胸元に団扇で風を送りながら、夕涼み
をしていた。道行く人々が祖母に声をかけ、あるいは立ち
話をし、そうして、夏の夕は暮れていった。
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『めーぐる』

 過日、めーぐるに乗った。めーぐるとは、名古屋市の観
光ルートバス。車体は金色。1日パス券、乗降は何度でも
オーケィが500円。なかなかお値打ちである。平日でも
30分おきに出ている、なかなか使える奴である。
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『おみやげ町娘隊』

 相当に濃い名古屋人であるところの私は、「ナゴヤ」に
対する、謂れがなくもない中傷・揶揄に、かねてから憤り
を覚えていた。だが、真っ向から否定することも、「ええ
かっこしい」のナゴヤ人としては出来ない。「歩く速度が
遅い」と言われれば、「東京人が速すぎるんだよ」と胸の
中で言い返し、「標準語話すんだ」と言われれば、「バイ
リンガルですから。ナゴヤ弁と標準語の」と答えてきた。
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『アングラ少女製造雑誌』

 過日、デザイン関係の友人が、MIgというフリー雑誌
をくれた。『女子力』というのだろうか、コスプレする女
子アーティスト集団の活動や、小物作りのユニットなどが
紹介されていた。
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