『会社という学校』

 大学を出て、フリーターをしていた、初めての冬、地下
鉄の中でふいに涙がこぼれて止まらなくなった。「私は何
をしているのだろう」と。翌日から、就活を始めた。
 小さな映像制作プロダクションに拾われた。変わった会
社だった。みんな、見事にドロップアウトした人間ばかり
だった。芝居なり映画なりに夢中にならなければ、名の通
った会社に入れる学歴を持っていた。
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