『母の使命』

 私の母は、とんでもない美人である。百人のうち、99人
までが綺麗だと認める容姿に加えて、小成金の長女という
出自。つまり、怖いもんなし。免許をとった昭和29年には
ツートンカラーのセダンを操り、まだ自家用車の少ない名
古屋の道をぶいぶい飛ばしては、名タクの運転手さんに、
「お宅のお嬢さん、どこそこの電柱にぶつかってました」
と報告されていたという。
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